フードテック─培養肉と昆虫食を考える─

市民バイオテクノロジー情報室代表 天笠啓祐

 いま政府は、フードテックの推進を図っています。農水省も将来の食料生産の主力として、開発に意欲的です。フードテックとは、新しい技術によって開発された、工場で生産される食品といっていいと思います。そのフードテックの前線にあるのが、培養肉と昆虫食です。いずれも遺伝子組み換えやゲノム編集技術の応用が期待されている分野です。

培養肉とは?

 培養肉は、工場で細胞を培養して作り出すステーキなどです。動物などの細胞を培養して生産する「人工肉」です。すでに本格的な開発が始まり一部では商業化が進んでいます。食用動物の肥育を行わなくてすむことから、将来の食料問題の解決につながるとして登場しているのです。

 フードッテック推進のきっかけは2013年に国連食糧農業機関(FAO)が「昆虫食が世界の環境問題と食料問題を解決する」とする報告書を発表したことにあります。この報告書では、人口増加によりたんぱく源が不足するため、脱食肉が掲げられました。それ以来、代替肉開発と昆虫食が注目されるようになったのです。

 これまで培養肉は、米国のベンチャー企業メンフィス・ミート社などによって、細胞を培・・・

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