開運商法に加担した寺院およびその宗派への訴訟
─判決のご報告─

弁護士(東京) 川井康雄

1 開運商法と寺院への提訴

 当職が事務局長を務める開運商法被害弁護団では、寺院名義の口座を提供するなどして開運商法業者に加担した寺院(二寺院。ただし二寺院の住職は親子関係にあり、両寺院は相当密接な関係にあった)と、当該寺院らが所属する宗派の責任を問う裁判を2016(平成28)年8月29日に提起し(翌年4月11日に原告を追加し、原告数は11名となった)、本年3月31日にその一審判決が下されたので、その内容について報告する。

2 加担寺院の責任について

(1)加担寺院はいずれも、開運商法業者と「加持祈祷指導監修等契約」なる業務提携契約を締結し、その寺院名義の銀行口座を利用させる(開運商法業者に言われるがまま、多数の口座を開設し、それを開運商法業者に提供していた)一方で、祈願代金等で得られた金員の一定額(5%)が寺院の取り分とされていた。

 審理の過程では、加担寺院らは開運商法と提携した後にいくつもの口座を開設していたこと、その内の一つが振り込め詐欺救済法により口座凍結されてもその関係を続けたこと、原告ら以外にも多数の被害者が多額の被害を被っていたこと等が明らかになった。

(2)・・・

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