熱海市の土石流問題について

弁護士(大阪) 加納雄二

 消費者問題としては、盛り土の上、開発された谷やその下に家を建てるな住むなということになります。

序 今年7月3日、熱海市において豪雨により谷の盛り土が崩れ、土石流となって流れ出し、多数の犠牲者が出た。盛り土自体も、熱海市内にあった社員寮の解体で出たコンクリート片やプラスチック片、ガラス片が大量に持ち込まれた(自動車もあったようだがそれは土石流以前に撤去されたそうである)とのことである。

 また、埋め立てた際に十分に地盤の締固めもしていないようであるし、埋め立てた谷にあった川の水をパイプ等で流す手配もされていない。これでは崩れて当たり前であり、人災そのものである。

1 盛り土は崩れやすい。まして産業廃棄物は危険

 盛り土というのは、どこか他の場所で取った土を、別の場所に埋めるというものである。

 近年、地震等で、各地で盛り土の被害(崩壊、液状化など)が起こっている。

 例として、2018年9月8日の胆振東部地震で、震源から50kmも離れた「札幌の盛り土の住宅地で、多くの家が傾いた。被害が集中した一帯は1970年代以降に盛り土された造成地で、地盤の緩さが被害の要因となったが、専門家はこ・・・

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