公益通報者保護法改正の今後

弁護士(大阪) 林 尚美

1 現行公益通報者保護法の問題点

 本法は、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇無効等並びに事業者及び行政機関が取るべき措置を定めることにより、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的としている。

 しかし、その保護される者、要件、事業者・行政機関の義務が限定的であることから、①公益通報者として保護すべき主体として「退職者」「役員」「取引先事業者」を加えること、②2号通報、3号通報の「真実相当性」の要件を緩和すること、③通報対象事実を刑事罰の担保によるものに限定せず、法目的による限定を外し、列挙方式をやめて、条例違反を含めること、④通報体制整備を法律上の義務とすること、⑤通報受付業務に携わる者に守秘義務を課すこと、⑥通報したことを理由として損害賠償責任を負わないようにすること、⑦不利益取扱いをした事業者に対して行政措置を導入すること、⑧不利益取扱いが通報を理由とすることについての立証責任を転換すること、が必要であるとして検討がなされた・・・

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