預託法附帯決議─消費者庁の解散命令申立権限─

弁護士(神奈川) 石戸谷 豊

はじめに

 預託法の改正法案は、2021年6月9日に成立し、同月16日に公布された(公布の日から1年以内の政令で定める日から施行される)。抜本的な改正であり評価できるが、残された課題もある。附帯決議をみると、参議院の同年6月4日の地方創生及び消費者問題に関する特別委員会で採択された13項目のうち、預託法の関係は9項から11項までである。そのポイントは、次のとおりである。

① 改正預託法と金商法、出資法との間に隙間が生じないよう関係省庁が連携して対応する(9項)。

② 関係省庁の連携による速やかな被害救済・被害防止の措置、施行後5年を目途とする実効性の検証と必要な措置を講ずる(10項)。

③ 不当収益の剥奪の制度、行政庁・特定適格消費者団体による破産申立制度、行政庁による解散命令制度の創設、過去の被害事案の救済のための措置について、消費者裁判手続特例法の運用状況の検討を踏まえ検討する(11項)。

 本稿は、このうち③の解散命令制度の創設を中心に述べており、本誌128号の拙著「預託法の抜本的改正法案」において「待ったなしの極悪業者対策」の項目で言及した問題のいわば続編である。 ・・・

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