日本学生支援機構の奨学金返還債務について

弁護士(札幌) 西 博和

1 はじめに〜「奨学金問題」とは〜

 独立行政法人日本学生支援機構(以下「JASSO」という)は、教育の機会均等に寄与するために学資の貸与等を行い、次代の社会を担う豊かな人間性を備えた創造的な人材の育成に資すること(独立行政法人日本学生支援機構法(機構法)第3条)等を目的として設立された独立行政法人(中間目標管理法人)であり(同第3条の2)、その前身は特殊法人である日本育英会である。

 特に我が国で「奨学金」という場合、JASSOの貸与型奨学金を指すことが多いと思われ、今や大学生の4割程度が貸与を受けていると言われている。

 近年、「奨学金問題」という言葉が示すとおり、JASSOの奨学金制度が様々問題化している。その問題の多くは、原因別に①社会的要因(景気悪化等)(例:仕送り減による奨学生の増加、返済困難者の増加)、②制度的要因(救済制度の利用に制度上の限界があること。例:返還期限猶予の10年制限)、③制度運用要因(制度上の制限がない場合にも救済制度の利用が認められない場合があること等)の、3点に整理することができる。

 このうち、裁判で争われるのは、専ら③制度運用要因によるも・・・

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