国会でも厳しい追及続く─物価偽装をただす─(第9回)

フリーライター 白井康彦

 生活保護基準切下げの行政処分の取消しを求めた「いのちのとりで裁判」。全国29地裁で提起され、2021年8月中旬現在、地裁判決は原告側から見て1勝3敗です。原告側は、物価偽装の論点で分かりやすく主張を展開していくことが決定的に重要。心強いのは、国会でも野党議員が物価偽装問題の追及を続けていることです。今回は、2021年の通常国会でのやりとりを紹介します。

 前提として、物価偽装の概要をまず説明します。厚生労働省は2013年1月に生活扶助基準改定案を公表。改定の最大理由は、消費者物価指数(CPI)の下落率を改定率にそのまま反映させる物価スライドでした。厚労省は、同省が編み出した「生活扶助相当CPI」が、2008年は104.5、2010年は100、2011年は99.5だったとしました。2008年〜2011年の下落率は4.78%。この下落率が大きすぎると判断して、大阪地裁は2021年2月に原告勝訴の判決を出しました。

 厚労省の計算は、2008年〜2010年の前半2年がパーシェ式、2010年の後半1年がラスパイレス式になっています。パーシェ式は普段はまったく使われない計算方法。・・・

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