重度の障がいをもつ子を有する母子世帯の最低生活費の認定変更から、重度障害者加算、家族介護料、おむつ代の認定が漏れ、審査請求を申し立ててから5年半後に裁決が出て遡及支給がなされた事例

弁護士(大阪) 普門大輔

経緯

 2021年4月26日、大阪府より裁決書が届いた。みれば、2015年8月に申立てを行った事件である。申立てから5年半以上が経過し、結論が出た。

 当時、大阪市の生活保護行政の問題を取り上げる調査団を結成し、問題事例を募る電話相談会に、生活保護を利用しようと赴いたところ、対応職員から「ソープで働いたらどうか」と言われたという相談が入った。生活保護申請の場面における水際作戦であり、悪質な事例であったため、相談者から直接話を聞くことになった。

 職員発言に係るヒアリングのなかで、当該世帯は長男が重度の障がいをもつ母子世帯であること、長男は生まれてからおむつが取れたことがなく、通学できることが稀で、ほぼ24時間付きっ切りが必要なこと、元夫のDVから逃れ、最後の頼みの綱と考えて相談した福祉事務所から心ない言葉をかけられ疲弊していること等のほか、最初の相談時から約半年がたって申請に至ったが、世帯の生活保護の内容をつぶさにみていくと、おむつ代が支給されていないこと、重度障害者加算が付くべき世帯であること、家族介護料を支給すべき事例であることなどが判明した。

重度の障がいをもつ母子世帯

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