コロナ禍における消費者教育の果たすべき役割

消費者庁新未来創造戦略本部客員主任研究官 鳴門教育大学准教授 坂本有芳

 日本では学校の教科教育の中に、消費者教育が組み込まれています。社会科では、消費生活にかかわる社会の仕組みを学び、家庭科では自身の生活でどのように実践するかを学びます。実践的な学びが求められる消費者教育の中心は家庭科です。

 家庭科では、小学校から高等学校までの間で金銭の使い方や買い物、売買契約について、持続可能な消費生活についてなど、難易度を増しながら繰り返し学びます。2022年に成年年齢が20歳から18歳に引き下げられるのに伴い、近年は売買契約の基礎に関する学習の充実が図られています。

 一つのテーマを総合的に深く掘り下げてゆく総合的な学習の時間では、持続可能な社会づくりをテーマとした調べ学習、体験学習が盛んに行われるようになってきました。また、近年は、社会に開かれた教育活動の実施が求められており、外部人材による様々な出前授業が学校で実施されています。

 高校までに受けた消費者教育について全国の大学生を対象としたWeb調査で尋ねたところ、「製品のマークや表示」「さまざまな悪徳商法」については6割以上が学習経験があると回答しまし・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。