コロナ禍における消費者トラブルの現状

独立行政法人国民生活センター相談情報部 加藤玲子

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、消費生活相談にも影響を及ぼしました。本稿では、コロナ禍における消費者トラブルについて変化があったものを中心にご紹介いたします。

1 新型コロナウイルス関連の相談

 全国の消費生活センター等が2020年1月から2021年3月末までに受け付けた新型コロナウイルス関連の相談件数は、約9万3000件となりました1(2021年5月末までのPIO-NET登録分)。月別件数では、2020年2月以降急増し、4月の約2万件をピークに減少し、9月以降は2000件~3000件の間を推移している状況です。

① マスク、消毒液など

 2020年4月頃までは、「マスクが買えない」「大手通販サイトでマスクが高値で取引されている」といったマスク不足、高価格に関する相談が寄せられました。ところが、同年4月以降はマスク不足から一転して、マスクの送り付けに関する相談が寄せられるようになりました。具体的には「注文した覚えのないマスクが届いた」「通販サイトで注文したところ届いたマスクが汚れやほつれのある不良品だった」などです。

 消毒液についても2020年4~5・・・

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