民事裁判IT化のパブコメ結果公表を受けてもやはりオンライン申立て等の義務化には断固として反対すべきである

弁護士(宮崎) 小林孝志

1 中間試案

 民事裁判のIT化に関する法改正を含めた改正が現在進行中であり、民訴法改正に関する中間試案が出され、これに対しパブリックコメントが実施された。本稿では、そのうち大きな問題のある項目の一つである「インターネットを用いてする申立て等によらなければならない場合等」、つまり、申立て等(原告の提出する訴状のみならず、被告の提出する答弁書、その他準備書面・書証の提出を含む)のうち書面等をもってするものとされているものについて、電子情報処理組織を用いてしなければならないとするかどうかについて、現状と問題点について指摘する。

 周知のとおり、パブコメにあたっては、甲案(すべての国民について原則として義務化)、乙案(訴訟代理人がいるときは義務化)、丙案(義務化する場合を設けない)の3案が提示されていた。日弁連は、甲乙丙いずれかによるのではなく、丙案、乙案、甲案と、段階的に実施していくべきであるという意見を提出していたところである。

2 義務化には反対すべきである

 もとより筆者は、オンライン申立て等の義務化には断固として反対すべきであるという意見を述べさせて戴いた(本誌127号8・・・

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