フジ住宅ヘイトハラスメント裁判判決のご報告

弁護士(大阪) 冨田真平

1 はじめに

 フジ住宅という、東証一部上場の大企業が、社内で人種差別民族差別を助長するような文書を配布し、あるいは特定の教科書が採択されるように教科書採択のアンケートに従業員を動員したことに対し、フジ住宅で約13年勤務するパート社員の在日コリアン女性である原告が、これらの文書配布や教科書アンケートへの動員を行ったフジ住宅及び代表取締役会長に対して損害賠償を請求した裁判(ヘイトハラスメント裁判)について、2020年7月2日、大阪地裁堺支部は、フジ住宅及び会長が行ってきた人種民族差別的な資料配布や教科書動員の違法性を認め、フジ住宅及び会長に110万円の損害賠償の支払いを命じる判決を下しました。2015年8月31日に提訴して約5年、待ちに待った原告勝訴判決でした。

2 フジ住宅で行われたこと

 フジ住宅では、会社及び会長が一体となって、(1)ヘイトスピーチや人種民族差別を助長するような内容の文書を含む、業務内容とは一切関係のない大量の資料の配付及び(2)教科書アンケートへの動員行為を行ってきました。さらには、原告が提訴すると(3)原告を非難する文書を大量に配布しました。

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