大学生をめぐるクレジット・サラ金強要商法の現状と課題

消費生活相談員  雪 美保子

1 はじめに

 クレジット・サラ金強要商法(以下、クレ・サラ強要商法という)とは、売買契約の際にその代金を支払わせるために、サラ金やクレジットカード等からの借金を強要する問題商法をいう。2016年の特定商取引法1改正において、虚偽申請の教唆(契約の相手方の年収、預貯金または借入れの状況その他の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせること)のほか、消費者の意に反する貸金業者等への連行、迷惑を覚えさせる仕方での金銭借入契約の勧誘等の行為が禁止され、クレ・サラ強要商法に対する規制が強化された。

 一般的に、成人すれば、高額な契約を勧められても自らの生活状況を合理的に判断して行動できるだろうと考えられている。他方、2022年4月には、民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられることから未成年者契約取消権がなくなるため、若年成年をターゲットにした消費者被害の低年齢化が懸念され、被害防止を目的とした消費者教育が高等学校を中心に全国展開2されている。

 しかし、規制強化されたはずのクレ・サラ強要商法だが、消費者行政の窓口では若年者を中心に増えているように感じられる。本稿では、・・・

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