証券口座乗っ取り

弁護士(大阪) 岡田 崇

Q

 私はネット証券で取引をしていますが、あるとき保有していた日本株をすべて売却されて、見知らぬ中国企業の売買を繰り返され、損失が出ていました。

 証券口座を乗っ取った犯人の動機や乗っ取られた原因を教えてください。また、約款で本人認証情報の漏洩や盗用がなされたとしても会社に故意または重過失がなければ責任を負わないとされていることから会社は責任を負わないと言われましたがそうなのでしょうか。

A

1 同じような証券口座の乗っ取りが2024年末ころから急増しており、社会問題になっています。金融庁の2025年4月末日現在の集計では計3505件、売買額は3000億円を超えています。3505件のうち、野村、SBI、楽天の3社にそれぞれ1000件程度が集中しているとのことです(朝日新聞2025年5月28日報道)。もっとも、その後、中小の証券会社にも拡大しており、各社では2段階認証の義務化などの取組みを始めています。

2 乗っ取られた証券口座での取引をみると、当初は中国銘柄が中心でしたが、中国銘柄の取引規制が進むと、日本国内株に切り替えられています。対象となっている銘柄は流動性が低いことが共・・・

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