桐生市の生活保護費侵害に対する国賠訴訟

弁護士(群馬) 斎藤 匠

1 事件の発覚

 桐生市は、北関東にある群馬県の南東部に位置する人口約10万人の市である。2023年11月、ここで生活保護を利用していたA氏に対して桐生市は、月額7万1500円程と決められた生活扶助費を一括ではなく1日1000円の分割で支給し(光熱費や電話代は請求書を示せば別途支給された)、総額でも半額程度しか渡していなかったことが発覚した。しかも、月曜日から金曜日まで、市の保護係の窓口に来る前にハローワークに行かせ、そこで受付の判子をもらわなければ支給しない、という扱いだった

2 報道をきっかけに更に明るみに出る違法・不当行為

 A氏に対する保護費の支給方法は、全国的にも聞いたことがない。特に本来支給されるべき金額を渡さなかったのは明らかに違法である。報道機関も桐生市の行為は問題だと考え、大きく詳細に報道した。また、報道を見た他の生活保護利用者から支援団体に対し、分割支給・一部不支給というA氏の事例と類似した相談、桐生市による扶養届の偽造が疑われる事案や扶養届に基づく収入認定が違法な事案、窓口での申請拒否(いわゆる水際作戦)の相談、桐生市が、利用者と同じ姓の認め印を多数・・・

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