政治団体N国党を「反社会的カルト集団」等とする意見論評を「合法」とする判決の概要

弁護士(広島) 石森雄一郎

1 事案の概要と本件の争点

(1)本事案は、政治団体NHKから国民を守る党(以下「N国党」という)や同党代表の立花孝志氏(以下「立花氏」という)を継続的に批判する記事を公表し続けている選挙ウォッチャーちだい氏(以下「ちだい氏」という)が、N国党を「反社会的カルト集団」及び「サリンを撒かないオウムみたいなもん」とSNSを利用して発信したことについて、N国党が名誉毀損を主張してちだい氏を被告として損害賠償請求を求めたものである。

 筆者は本訴訟の被告となるちだい氏の代理人として訴訟活動を行った。

(2)本事案の争点は、

① 「反社会的カルト集団」及び「サリンを撒かないオウム」という意見・論評の意味、及び

② 同意見論評の前提としている事実が主要な点において真実であること

の2点である。

2 争点に対する判断と本判決の意義

(1)「反社会的カルト集団」等の「意味」に対する判断

 第一審判決では、「反社会的カルト集団」及び「サリンを撒かないオウム」を、「犯罪行為や違法な行為を平然かつ盲目的に次々と行う危険な集団又は団体である」との意見あるいは論評を表明するものと解釈をしている。

 裁判所の・・・

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