久留米大学名誉教授 弁護士(福岡) 朝見行弘
4 欠陥
製造物責任の責任要件としての「欠陥」について、旧指令は「人が期待する権利を有する安全性を提供しない場合」(旧指令6条1項)をいうものと規定していたが、新指令では、これに「EU法若しくは加盟国法に基づいて求められる安全性を提供しない場合」(新指令7条1項)が付け加えられた。そして、新指令においては、製造物にかかる使用への適合性を基準とすべきではないこと、欠陥性の評価は社会一般が期待する権利を有する安全性1の客観的分析を含むべきであり、特定の人が期待する権利を有する安全性を持ち込むべきではないことが明記されている(同指令前文(30)項)。
欠陥の判断要素について、旧指令においては、(a)製造物の表示、(b)製造物の合理的に期待可能な使用、(c)製造物が流通に置かれた時期の三つのみが例示されていたところ(旧指令6条2項)、新指令では、(a)製造物の表示および特徴2、(b)製造物の合理的に予見可能な使用3、(c)製造物の新たな特徴を学習または取得する製造物の能力、(d)共に使用される可能性のある他の製造物の予見可能な影響、(e)製造物が市場に出・・・
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