弁護士(大阪) 薬袋真司
前稿(本誌141号29頁以下)に続けて、行為規範と法的効果に関する整理・検討を続ける。
5 民事効果について
現行の消費者契約法(実体規定部分)の定める民事効果は、意思表示の取消し(4条以下)と契約条項の無効(8条以下)の2つに限られている。この2種の法的効果の外にも、消費者の利益を擁護・救済するための民事効果として、様々なものが考えられる。
(1) 契約の拘束力からの離脱(無効・解除)
契約の無効は、民法90条の延長として、いわゆる「現代的暴利行為」として議論されているものである。また、事業者の行為規範違反を基礎として、契約の解除を認めるという方法もありうる[1]。
これらは、意思表示の取消しとともに、契約の拘束力からの離脱(あるいは、契約の拘束力の限界)を定めるという点で共通の性格を有する[2]。
ところで、契約の拘束力を否定するための要件としては、A「実体要件」(契約内容等の不当性)とB「手続要件」(勧誘行為の不当性)の2種のものがある。実体要件には、A①対価の不均衡(不当に高い代金で買わされる、不当に安い代金で売らされる)、A②波及的損害(資産・収入に照らして過大な・・・
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