弁護士(京都) 増田朋記
1 パラダイムシフト専門調査会の設置と背景
内閣府消費者委員会では、「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」が設置され、令和5年12月27日から審議が開始されており、令和6年10月17日には中間整理が発出され、令和7年5月16日開催の第23回会議においては、報告書(素案)が示されて、取りまとめに向けた検討が開始されている。
「消費者法制度のパラダイムシフト」とは何であろうか。パラダイムというのは、その時代や分野で当たり前とされている考え方の枠組みを意味している。すなわち、パラダイムシフトとは、当たり前とされている考え方の枠組みを変革させることをいう。
この背景にあるのは、令和4年通常国会における消費者契約法改正である。
同改正内容は、これに先立つ「消費者契約に関する検討会報告書」(令和3年9月)おいて示されていた困惑類型の脱法防止規定や消費者の判断力に着目した規定等の重要な改正提案が反映されず、限定的な内容となっていた。
平成28年改正、平成30年改正と、これまで進められてきた消費者契約法の改正が、ついに行き詰まるような状況となったのである。このような状況を打・・・
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