物価上昇の原因と打開の方向

日本共産党参議院議員(日本共産党) 大門実紀史

 この間の異常な円安の進行が物価高をまねき国民生活を苦しめてきました。

 2020年3月までは1ドル115円台でしたが、昨年4月末には一時160円台をつけ、本稿執筆時点でも155円前後を推移しています。これは1990年6月以来、約34年ぶりの異常な円安水準です。日本は原油・エネルギーや食料などを輸入に依存している国です。円安になると輸入品の価格が上昇し、物価全体を押し上げます。物価の上昇は家計を圧迫し、実質賃金を低下させます。中小企業も円安による原材料費などの高騰を価格に転嫁することができず倒産に追い込まれる物価高倒産が急増しています。

 一方、輸出大企業は大もうけです。円安になると輸出したモノの値段が海外では相対的に下がって売りやすくなり、売上げが伸びます。またドルで受け取った代金を円に換えると、円安になった分、円をたくさん受け取ることができます。実際、この間の円安のおかげで輸出大企業は空前の利益をあげています。また円安は株価を上昇させ、富裕層(大株主)を大もうけさせました。円安になれば海外の投資家にとって日本株は割安になります。実際、大量の投機マ・・・

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