神奈川大学名誉教授 石川正美
1 平成18年改正前の利息制限法の規定
利息制限法は、平成18年に改正され、同法1条2項および4条2項の規定は削除されたが、これらの規定が改正前に判例により空文化されていたことは、周知のとおりである。
すなわち、最大判昭和43年11月13日(民集22巻12号2526頁)は、債務者が同法所定の利 率を超えて利息・損害金を任意に支払ったときは超過部分の返還を請求することができない旨規定する1条、4条の各2項は、金銭を目的とする消費貸借について元本債権の存在を当然の前提とするものであるところ、「元本債権が既に弁済によつて消滅した場合には、もはや利息・損害金の超過支払ということはありえない」ので、「債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に利息・損害金の支払を継続し、その制限超過部分を元本に充当すると、計算上元本が完済となつたとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならないから、この場合には、右利息制限法の法条の適用はなく、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である」と判示して、・・・
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