弁護士(岐阜) 山田秀樹
抹消請求を認める画期的な判決
2024年9月13日、名古屋高等裁判所(長谷川恭弘裁判長)は、大垣警察市民監視事件について判決を言い渡した。判決は、公安警察による個人情報の収集・保有についての違法性を認め、岐阜県に対して、原告一人について110万円(請求額全額!)の損害賠償を認めるとともに、民間業者作成の「議事録」に記載されている原告の個人情報の抹消請求を認める画期的な判決である。裁判所が、公安警察による個人情報の収集・保有を違法とし、抹消請求を認めるのは初めての判断ではないかとみられる。
大垣警察市民監視事件とは
この事件は、大垣署警備課(公安警察)が、中部電力子会社が進める風力発電事業をネタに情報交換を持ち掛け、大垣市内に在住する市民四人について警戒を呼び掛け、個人情報のやり取りをしていたというものである。2014年7月24日付け朝日新聞の報道によって明らかとなった。
市民四人は、大垣署による個人情報の提供はもちろん、その前提としての警察による個人情報の収集、保有は、いずれもプライバシーの侵害であり人権侵害であるとして、岐阜県警の責任主体である岐阜県に対して国家賠償請・・・
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