弁護士(東京) 河合敏男
5 構造審査省略制度の改正
国土交通省は、平成20年4月22日、「四号建築物の構造審査省略制度(四号特例)が適用された建売住宅において、壁量計算を行っていない等の不適切な設計が行われ、約1800棟の住宅で構造強度不足が明らかになる事案が発生したことを踏まえ、四号特例の見直しを予定しているところです」として、その十分な周知等を図ることを各地方行政局の建設部長宛に指導を発出した(国住指第256号)。国交省は遅くとも平成20年には4号特例制度に乗じて多くの構造耐力不足の建築物が生産されていた事実を認識していたのである。
4号特例についての建築基準法改正は、2022年(令和4年)に至って漸く実現された。すなわち同年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」により、省エネ基準への適合の義務化とともに、建築基準法の四号特例の縮小が措置されることとなった。同改正は2025年4月から施工されることになっている。
6 改正の概要
改正前は、四号建築物に分類されていた木造2階建て及び木造平家建て等はすべて審査省略制度の対象とされてきた。こ・・・
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