弁護士(東京) 志水芙美代
1 公益通報者保護制度検討会の開催
公益通報者保護法(平成18年施行)が令和2年に改正され、令和4年6月から施行されました。改正法附則第5条において、公益通報者に対する不利益な取扱いの是正に関する措置の在り方及び裁判手続における請求の取り扱いその他新法の規定について、施行後3年を目途として検討を加えるべきことが規定されたことや、近年国内外で公益通報制度を巡る環境が変化していることなどを受け、令和6年5月に公益通報者保護制度検討会(以下「検討会」といいます)が設置され、改正法の施行状況を踏まえた課題の検討が重ねられました。
2 検討会における論点
論点は多岐にわたりますが、主だったものとして、①事業者の内部通報対応体制整備義務の強化の一環として従事者指定義務を法律上明記し、違反に対して命令権・立入検査権・刑事罰を導入することの是非、②事業者が通報者に対して公益通報を理由とする不利益取扱いをした場合の刑事罰(両罰)を導入することの是非、③通報者が公益通報を理由とする不利益取扱いを受けたことを訴訟上主張する場合に、一定の条件下で不利益取扱いが通報を理由として行われたこと(・・・
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