モノマネー(先払いヤミ金)裁判現状報告(大阪地方裁判所令和5年(ワ)第6588号、同第6590号事件)

弁護士(大阪) 向井雄紀

第1 事案概要と争点

 本件裁判は、被告会社(株式会社bazzar)が、「モノマネー」という名称を用いて利用者たる原告らによる商品写真データ送付のみ(現品確認なし)の商品買取申込みに対し、買取代金を先払いし、後日、発送期限内における被告会社への商品不発送を理由に売買契約を債務不履行解除のうえ、既払い買取代金の返金に付加して買取代金の30%の違約金支払いを行うという一連の取引行為に関し、当該「先払い買取現金化サービス」(被告会社による呼称は「フラッシュ買取り」のため、以下においては当該呼称を用いる)が不法行為に該当するとして、原告らが被告会社とその代表者に対して、損害賠償を求めた事案である。

 本件裁判の争点は、フラッシュ買取りについて、貸金業法第2条の「貸付け」に該当するか否かというものである。以下、当該争点に関する原告らの主張内容を含めた現状について報告する。

第2 貸金業法における「貸付け」について

 貸金業法第2条柱書において「貸金業」とは、「金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介(手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は当該方法によってする金銭・・・

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