会わずの弁護士による不適切な事件処理の一例

弁護士(愛知) 平野憲子

1 会わずの弁護士・司法書士(以下「会わず士業」という)の被害が多発している。

 債務者は、広告を契機として会わず士業との接点を持つが、彼らは債務者と面談しないことが多く、生活再建のために必要な聞き取りをしないし、個別事情に応じた債務整理の方法の提示もしない(仮に債務者と面談した場合、形式を整えただけで、債務者から適切な聞き取りをしないため、債務者は、生活が苦しい中、無駄な交通費を払う羽目になっている)。会わず士業との契約に至るのは、なぜか任意整理ばかりである。

 会わず士業は、一部の借金だけ任意整理したり、家計収支を確認したならどう考えても不可能な金額の積立てをさせたりする。債務者は、毎月3万とか5万払ってくださいと言われたことは覚えているが、何の費用を支払っているのか理解できていないことが多い。

 債務者は、生活再建を願い、債務整理のプロと信頼し、会わず士業への相談を決意するも、思いとは裏腹に、生活は困窮を極め、毎月の積立てが頓挫、辞任される等して、地元の法テラス等での相談に至る。結果、債務者の家計からすれば法的整理が相当と判断されるケースが多い。

 仮に、毎月の積立てがで・・・

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