弁護士(仙台) 鈴木裕美
1 地方消費者行政があぶない
今、地方消費者行政が岐路に立たされています。2009年に消費者庁・消費者委員会が創設された際、「霞が関に立派な新組織ができるだけでは何の意味もなく」、「地方の消費者行政の抜本的な強化を図ることが必要」との方針が打ち出され、消費者が全国どこにいても専門家による消費生活相談を受けられる体制の整備・消費者被害防止の施策の強化のため、国の交付金等による財政支援が行われてきました。しかし、長く地方を支えてきた交付金が近々終了することなどにより、地方消費者行政の後退が危惧される状況となっているのです。
地方消費者行政推進交付金(2012年度−2017年度 以下「推進交付金」という)は、補助率10割で相談員の人件費にも充てることができるものでしたが、地方消費者行政予算を徐々に自主財源に移行させる政策方針の下で、活用期限(自治体毎に、原則事業開始から7年間、小規模自治体は9年間等)が定められ、地方消費者行政強化交付金(2018年度─補助率原則2分の1 以下「強化交付金」という)に移行後も、推進交付金によって立ち上げた事業を、活用期限内に限り推進交付金と・・・
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