消費者庁・「デジタル社会における消費取引研究会」について

(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS) 副会長 樋口容子

 2024年6月27日、消費者庁主催の「デジタル社会における消費取引研究会 第1回」が開催された。この研究会の趣旨は、消費者庁資料によると、「デジタル社会における購入者等の利益の保護並びに適正かつ円滑な商品等の流通及び役務の提供を達成すべく、購入者等が不当な損害を受けることのないよう、また、取引が公正なものとなるよう講ずべき施策の領域と手段について研究する。(中略)特に、デジタル技術特有の加速的な可変性を踏まえ、悪質事案への厳正かつ迅速な対処の在り方として、これまでの規制による効果を検証するとともに、デジタル消費取引における効果的な対処策を導く」とされ、当初は、近年、消費者トラブルの多い、SNSなどを利用した通信販売などについて研究、議論されるものと思われた。

 しかし、この研究会の議事録を読ませていただいたが、以下の三つの観点から、問題があると考えられる。

 第一に、研究会において事務局(消費者庁)が、特定商取引法第1条の目的について、「購入者の利益を保護すること」をA、「商品等の流通及び役務提供を適正か・・・

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