自動ドア事故に関するPL判決と消費者事故調査
—ぶつかり事故防止のために—

消費者安全問題研究会 土庫澄子

1 事案

 平成21年10月9日、独立行政法人都市再生機構(UR)が運営管理する団地建物で、原告(昭和27年生まれの男性)は2階踊り場で転倒し、右肩、右肘挫傷の傷害を負った(第1事故)。

 平成22年4月6日、原告がコンビニ店舗から出ようとして、出入口に設置されたスライド式(左右に開く引き分け式)自動ドアを通過しようとした際、ドアに衝突し、第1事故で受傷した右肩・右肘にさらに受傷した(第2事故)。

 原告は、自動ドアを製造販売した日本自動ドア株式会社に対してはPL法に基づいて、コンビニ店舗経営者に対しては土地工作物責任に基づいて、URに対しては共同不法行為責任に基づいて、それぞれに損害賠償を請求した。

 自動ドアには内部センサーが設置されている。平成18年8月から平成22年2月までの定期保守点検で、総合評価はいずれもハンガーレールの摩耗、老朽化による劣化であった。

2 裁判所の判断―東京地判平成25年6月3日

 第1事故について、URには団地建物の設置または保存に瑕疵がある。

 第2事故について、自動ドアに欠陥はない。事故発生時に自動ドアは閉作動に入っておらず、原告が通常よりいちじ・・・

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