PL事件この1年

東京PL弁護団 弁護士(東京) 荒田曜子

1 はじめに

 東京PL弁護団(代表:中村雅人、副代表:米川長平、事務局:ヒューマンネットワーク中村総合法律事務所)は、平成3年に、製品事故による被害者救済及び製品の安全の促進を目指して発足し、多数の欠陥製品による被害の相談、救済にあたっている弁護団である。また、事件処理の経験をもとに、これまで製造物責任法(PL法)制定、消費者庁・消費者委員会創設に寄与してきた。

 現在、約20名の弁護士が所属し、概ね2、3名の個別弁護団を組み、技術士の協力も得て事件に対応している。裁判状況の確認や情報共有のため、隔月の定例会議及び年2回の勉強会を行っている。

 以下、東京PL弁護団で扱っている事件を中心に、この1年の主なPL事件の進捗状況について報告する。

2 エアコン室外機発火事件

(1)事案

 平成24年10月9日午前2時頃に、教会兼住居の本件建物2階ベランダに設置されたエアコン室外機より出火し、本件建物が全損した事案である。本件火災は、エアコン室外機の欠陥に起因するとして、本件室外機を製造した業者に対し、製造物責任に基づく損害賠償を求め訴訟提起した。

(2)経緯・争点

 平成26・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。