骨接合プレートの折損事故
―良質なリハビリテーションと患者向けガイドの提案─(神戸地判平成15年11月27日)

消費者安全問題研究会 土庫澄子

1 事案

 X(手術当時59歳)は、平成12年7月17日、自宅で、低血糖によるめまいを起こして階段で転倒し、左腕の上腕骨を骨折した。7月18日から約3ヶ月の間、A病院で三角巾とバストバンドによる保存療法を行ったが、骨癒合が起こらず、偽関節(骨折部が関節のようになり、そのままでは骨癒合が起こらない)状態となった。10月24日、Xは参加人病院に転院し、B医師の診察を受け、10月30日、入院した。10月31日、Xは同病院において、骨移植および上肢用プレートを装着して内固定(骨折部を手術的に直接固定する)する骨接合手術を受け、11月3日退院した。

 ところが、左腕が動かなくなってきたため、平成13年1月10日、B医師の診察を受けたところ、プレートが中央部付近で真っ二つに折損していた。2月24日、Xは転院先のC病院でプレート摘出および骨を接合する再手術を受けたが、骨癒合は生じないままであった。

 Xは、Y社が輸入販売した本件プレートに製造物責任法上の欠陥があり、参加人病院には、適切な治療をするというXと参加人の間の医療契約の債務不履行責任が生じ、両者が相乗してプレート折損事故が・・・

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