2019年の先物等の裁判例の紹介

弁護士(東京) 太田賢志

1 先物取引(第一商品)

(1)判決年月日

 東京高判平成31年3月28日先物取引裁判例集81号23頁(原審:東京地判平成30年9月28日先物取引裁判例集80号61頁)

(2)判決内容(指導助言義務の部分)

 「商品先物取引業者は、顧客の相場予測が当たっても当たらなくても、取引ごとに手数料収入を得ることができ、法が、両建の勧誘を禁止し、両建取引を理解していない顧客から受託することを禁止したのは、商品先物取引の射幸性及びその危険性に加え、商品先物取引業者と顧客との間にそのような不衡平が存在することから、商品先物取引業者が顧客の利益をないがしろにして手数料収入を得ようとすることを防止するためであると解されること、そうすると、一審被告らは、商品相場の値動きの予測に精通し、かつ、一審原告の財産状況や取引経験、本件先物取引の状況を全体として客観的に俯瞰できる立場にあるから、一審原告に対し、両建の仕組みとそのリスクを説明した上で一審原告の責任と判断に委ねるだけではなく、取引開始後の個別取引の場面においても両建のリスク等を一審原告に説明すべきであり、その結果一審原告が両建を選択した後も、・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。