弁護士(大阪) 薬袋真司
弁護士(大阪) 浅野永希
京都大学大学院法学研究科准教授 カライスコス アントニオス
1 はじめに
送りつけ商法は、事業者が、注文を受けていない物品を消費者に送付して、いきなり代金を請求し、あるいは、消費者が一定期間内に購入しない旨の通知をしなかった場合に購入意思があるものとみなして代金を請求するものである。このような商法は、消費者にとって迷惑なものであり、ときには誤解や知識不足から消費者が代金を支払ってしまうこともある。
送りつけ商法については、日本では、特定商取引法の雑則において、「売買契約に基づかないで送付された商品」として、商品の送付があった日から14日間(消費者が引取請求をした場合にはその日から7日間)を経過することにより、事業者は返還請求ができなくなると規定されている(同法59条)。この規定は、特定商取引法(旧訪問販売法)の制定当時から存在するが、昭和63年の法改正において、事業者が返還請求権を失う期間が3か月から14日(引取請求があった場合は1か月から7日間)に変更された。しかし、その後、実質的な見直しが行われないまま既に30年以上が経過している。
海外にお・・・
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