「消費者に武器を」消費者庁設置へ
─1989年第32回日弁連人権大会in松江─

弁護士(大阪) 木村達也

 日弁連の年間の重要な事業には毎年5月に開催される総会(東京)と秋に各地で開催される人権大会がある。いずれも全国の弁護士が集まって、弁護士会内の問題を審議するだけでなく、その時、その時期に日弁連として広く国民の人権擁護にとって重要な問題について審議決議することになっている。

 特に人権大会は、その前日にシンポジウムが開催され、人権大会決議に至る理由や経過について1日かけて議論することになっているので、このシンポジウムを担当する委員会は大変な重責を担うことになる。

 1984年(昭和59年)、中坊公平弁護士が大阪弁護士会の会長時代に大阪で第27回日弁連人権大会が開催され、第2分科会シンポジウムで「消費者被害と弁護士の役割」が取り上げられ、大会で「消費者被害の予防と救済のため弁護士の役割が期待される」と決議した。この決議を契機にして、半年後(1985年10月)、日弁連に消費者問題対策委員会が設置されることになった。この時は、中坊公平弁護士が中心となって、関係者に根回しをして、当時の日弁連の司法制度調査会の中に小委員会として設置されていた消費者部会を消費者問題対策委員会とし・・・

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