編集後記

◇コロナ禍で、多くの「日常」が奪われました。不要不急の外出を控えるようになり、会食の機会やイベントも激減しました。バンドは活動を停止し、懐かしいライブハウスは閉店を余儀なくされました。去年まで当たり前だった多くのことが、当たり前のことでなくなりつつあります。

◇他方、「新しい生活様式」として、インターネットを駆使したデジタル化が急速に進んでいます。日弁連の委員会もオンラインのリモート会議ばかりになり、裁判所のIT化にも拍車がかかりそうです。某審査会では、年内にもオンラインによる専門家相談を導入するようです。そういったツールの便利さが浸透すれば、もはや会議等のために移動することすら無駄に思えようになるかもしれません。

◇しかし、利便性の向上は、常に誤用や乱用ひいては悪用の危険性と隣り合わせです。薬の量を増やせば副作用のリスクも高まるのと同じことで、この「用量−反応曲線」の見極めこそが重要なのです。最近の話題で言えば、ドコモ口座の不正利用問題は、簡便さと裏腹の悪用リスクにつけこんだ典型と言っていいでしょう。また、公文書における「ハンコ禁止」もいいですが、文責不明の「怪文書」ばかりになっては困り・・・

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