弁護士(大阪) 白出博之1
第6章 紛争の解決(その5)
【人民法院の責務】
第35条 人民法院は消費者による訴訟の提起に便宜を図る措置を講じなければならない。『中華人民共和国民事訴訟法』の提訴要件に適合する消費者権益をめぐる紛争については、受理し、速やかに審理しなければならない。
消費者は自らの権益が侵害された場合、民事訴訟手続を通じて事業者を提訴し、損害賠償等の民事責任の負担を請求できる。そして、国による消費者権益を保障する重要な責任の一つとして、司法機関は消費者が法に基づき民事訴訟を提起する権利を保障しなければならない。もっとも、消費紛争・訴訟の特徴ないし実情として、①事業者と消費者の地位が対等でなく、その有する知識、能力、情報等も著しく不均衡な状況にあること、②一般に通常訴訟手続が複雑で時間も長くかかり、手続コストも相対的に高いこと等もある。そこで本法では、第四章「国家による消費者の合法的権益保護」に人民法院の責務に関する35条を置いている。
1)本法35条2前段の「訴訟の提起に便宜を図る措置」とは3、例えば、①提訴時において消費者が訴状を作成することが困難な場合に口頭提起を認め(民訴法・・・
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