バイエルに重くのしかかるモンサントの負の遺産

市民バイオテクノロジー情報室 天笠啓祐

バイエルがラウンドアップ訴訟に対して和解案を提示

 独バイエル社には、買収した米モンサント社の負の遺産が重くのしかかっています。2020年6月24日、バイエル社は、その負の遺産の一つ除草剤ラウンドアップの被害者が起こした訴訟を終結させるため、和解金として100億ドル強(約1兆1000億円)を支払うと発表しました。さらに二つ目の負の遺産である除草剤ジカンバでの農作物被害訴訟に対しても約4億ドル、三つ目の負の遺産であるPCB汚染訴訟に対しても約6億5000万ドルを支払うと発表したのです。ラウンドアップは商品名で、主成分はグリホサートです。そのためグリホサート訴訟ということもあります。

 バイエル社がモンサント社を買収しましたが、その金額は約630億ドル(約7兆円)です。加えて、負の財産が残されたことを考えると、実に高い買い物になったといえます。現在、ラウンドアップ訴訟は、米国内だけで推定12万5000件に達しており、オーストラリアやカナダでも起きています。

 今回提示された和解金は、米国内で起きているラウンドアップ訴訟の中の75%程度を解決するために用いられ、金額・・・

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