食品添加物表示制度に関する検討会報告書

食の安全・監視市民委員会代表 弁護士(東京) 神山美智子

 2020年3月31日、タイトルの報告書が公表された。食品添加物(以下添加物と表記)表示の改善は2013(平成25)年6月に食品表示法が成立したときから、再検討を予定されていたテーマの最後の一つで、2019年4月、消費者庁に添加物表示制度に関する検討会が設置された。

 しかし結論からいえば、この検討は改悪と現状維持のみで、消費者の権利の拡充には程遠いものである。以下詳述する。

1 添加物表示は、単なる消費者の選択の問題であるという前提

 食品添加物は、食品衛生法に基づき、人の健康を損なうおそれのないものとして、厚生労働大臣が指定したもの以外、流通も使用もできないとされているので、安全性の問題はない。したがって表示は選択の権利を確保するものであって、安全性には関わりがないというのが消費者庁並びに検討会の一貫した姿勢である。

 しかし添加物は、1995年の食品衛生法改正まで、合成添加物のみが厚生労働大臣の指定対象で、いわゆる天然添加物は野放しであった。95年改正時、天然添加物約1000品目を既存添加物名簿に登載して、引き続き使用を認めることとしたが、・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。