欠陥住宅紛争の基礎知識(51)
─マンションの瑕疵をめぐる問題(3)─

弁護士(東京) 河合敏男

1 管理者の権限

 前回解説したように区分所有法26条は、規約または集会決議で選任される管理者に、共用部分等について生じた損害賠償金請求権等の代理権を与え、また訴訟における当事者適格の地位を与えた。これは、平成14年の区分所有法改正によって付け加えられた権限であった。同改正前は権利能力なき社団たる管理組合が区分所有者からの授権を受けて訴訟追行しようとする事例も見られたが、多くの裁判例は、管理組合が訴訟追行できるのは区分所有者に総有的に帰属する請求権に限られ、売買の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求のような各区分所有者に帰属する請求についての訴訟追行権はないとして、訴えを却下している。

2 管理組合法人の権限

 平成14年改正法は、法人化した管理組合法人についても、管理者と同様に、共用部分等について生じた損害賠償金請求権等の代理権を与え、また訴訟における当事者適格の地位を与えた(区分所有法47条6項、8項)。つまり管理組合法人は、団体管理の主体たる地位と各区分所有者全員の代理人たる地位の二つの地位を併有することになる。

 以上をまとめると、共用部分等について生じた損害賠償金請求権・・・

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