電気カーペットから発火した火災
─安全なホームケアのために─(東京地裁平成24年8月31日判決)

消費者安全問題研究会 土庫澄子

1 事案

 平成20年4月19日、原告の養母が自宅で大手メーカー製の電気カーペット(平成13年4月製造)を使用していたところ、電源コードから出火して火災となり養母は死亡した。

 養母を相続した原告は、電気カーペットを通常の用法に従って使用していたにかかわらず火災が発生し、電気カーペットに欠陥があるとして、メーカーに対してPL法に基づく損害賠償等を請求した。

 消防署が作成した出火原因判定書によると、カーペットの電源コードには四つの短絡痕があり(二つは器具側、二つは電源側)、コードが挿入されていた壁付コンセント口から天井まで扇状に消失していた。

 判定書は出火源を、差し込み口に挿入された電源コードがなんらかの要因で短絡してコードの被覆に着火したと推定している。

2 裁判所の判断─電気カーペットに欠陥はない

 PL裁判では、カーペットの欠陥の有無をめぐり、出火に至る機序が争われた。原告は、本件カーペットを通常使用していたにもかかわらず発火し、流通に置かれた時点で電源プラグ内に欠陥があったと主張した。被告メーカー側は、何らかの外的要因によってカーペットの使用中に後発的に短絡が生じ、発・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。