仮想通貨(暗号資産)に関する法改正等の概況

弁護士(東京) 庄野 信

第1 仮想通貨(暗号資産)に関する法改正の経緯

(1)2016年法改正(2017年施行)

 仮想通貨については、従前法律の対象となっていなかったところ、2016年に資金決済法及び犯罪収益移転防止法が改正され、法律上定義づけされるとともに、売買等が規制の対象となった。ただし、不正アクセスによる仮想通貨の流出事案が繰り返され、証拠金取引及び不公正な取引などの問題も指摘されていた。

(2)2019年法改正(2020年5月1日施行)

 金融庁は、2016年以降も仮想通貨に関する検討を継続し、2019年、資金決済法及び金融商品取引法等を改正した。この改正によって、仮想通貨については、世界的な表記に合わせて「暗号資産」に呼称を変更した。

 資金決済法等の改正に伴い、同年9月3日、従前の運用を変更するため、金融庁事務ガイドラインを改正し、監督上の着眼点の明確化、ICOの対応を規定した。

 また同年12月27日に金融庁事務ガイドラインを改正し、暗号資産を投資対象とする投資信託を禁止することを明確にした。

(3)2020年政省令の改正

 2020年1月14日に政令・内閣府令等の改正案が発表され、同年5月1・・・

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