弁護士(京都) 住田浩史
1 はじめに
「オーディション商法」とは、「オーディションをうたって呼び出した消費者に、オーディション後、突然、高額なレッスン受講契約等を勧誘する手口のことをいう1。
近年、このオーディション商法による被害が増加している。東京都は、2017年に1件2、2018年に1件3、同種の商法を行っていた業者に特商法に基づく業務停止命令を下している。また、政府広報からは、2019年1月に「タレント・モデル契約のトラブルにご注意を! 契約前に、『確認』『相談』『冷静な判断』を」との注意喚起情報4が出され、さらに、国民生活センターからも、同年9月に「タレント・モデル契約のトラブルにご注意!」との注意喚起情報が出されている。
また、同種商法について、公刊物に掲載されている裁判例は見当たらないものの、事件としては、国民生活センターADRの対象となっているものがあり5、ウェブで公表されている処理経緯からは、この種の紛争の実情がうかがえる。
今般、オーディション商法による被害につき被害額の全額の回収に成功したので、この種事案の処理の参考となると思われるので、紹介する。
2 事案の概要
2020年1・・・
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