キャッシュレス決済の推進と消費者被害の防止
─割賦販売法・資金決済法2020年改正と今後の課題─

弁護士(埼玉) 池本誠司

割賦販売法改正の概要

 割賦販売法改正法案は、2020年6月24日に公布され(施行は1年以内)、「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案」(金融商品販売法・資金決済法の改正)は、2020年6月12日に公布された(施行は1年6月以内)。いずれもキャッシュレス決済の推進という官邸の方針1の下で経済産業省と金融庁で並行して審議が進められ、法改正に至ったものである。

 改正割販法は、①過剰与信規制のうち指定信用情報機関の使用義務・登録義務の適用除外の方針が、審議の途中までは掲げられていたが、弁護士会や消費者団体の広範囲な反対意見や内閣府消費者委員会の慎重意見などにより、何とか阻止された2。しかし、②AI・ビッグデータを用いた与信審査方法の選択を認めたこと、③少額の包括信用購入あっせん事業について登録要件の一部を緩和したこと、④書面交付義務の電子化をさらに推進したこと、⑤QRコード決済事業者等のセキュリティ対策義務の対象者を拡大したことなど、主としてキャッシュレス決済事業者の参入促進を図る規制緩和の方向である。指定・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。