預託法改正に向けた審議状況と今後について

(公社)全国消費生活相談員協会 増田悦子

 豊田商事事件を受けて、1986年に預託法が制定されてから34年。2020年2月18日から消費者庁による「特定商取引法及び預託法の制度のあり方に関する検討委員会」がスタートし、計6回の会議の末、2020年8月、「販売預託取引は原則禁止すべき」という報告書となりました。

 豊田商事事件以降、八葉物流、近未来通信、安愚楽牧場、フラワーライフ、そしてジャパンライフ、ケフィアなど、大型消費者被害は販売預託商法もしくは類似の形式の事件であり、多くは連鎖販売取引により販売し預託させていました。私は消費生活相談員として、八葉物流以降の事件の相談をすべて受けてきましたが、ほとんどが破綻間近にレンタル料や配当がなくなってから相談が寄せられましたので、被害回復ができたのは数えるほどでした。商品のシリアルNo.が契約書に記載されていても、どこに設置されているのか事業者に聞いても回答はなく、行政処分によって、商品がほとんどなかったことがわかるということが繰り返されてきました。その後、特定商品に追加されてきましたが、二度とその商品を扱うことはないため意味はありません。消費生活相・・・

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