弁護士(東京) 志村知彦
本東京高判(本号334頁に判決全文掲載)は、製造物責任法3条に基づく損害賠償請求における主張立証責任の枠組みの判断規範を、同条の趣旨等から、「①利用者の側の立証によって認定される諸事実に照らして欠陥及び火災との因果関係の存在が推認される場合には、②製造業者等の側でその推認(事実上の推定)を覆すに足りる立証(間接反証)をしない限り、製造業者等は損害賠償責任を免れない」とし、一審判決と同様に訴訟上の事実の立証程度に関するルンバール最高裁判決(昭和50年10月24日)規範を引用し、さらに上記事実上の推定は、社会通念に照らして当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることを推認するに足りる諸事実が立証されていれば足り、欠陥の部位等の詳細まで立証を要せず、また、当該欠陥に起因して発生したという因果関係についても、必ずしも当該危険事象の発生に至った科学的機序等の詳細まで立証を要するものではない旨明示した。
その上で、本件では、建物及び室外機周辺の焼損状況(室外機周辺が最も焼損が激しいこと)、火災発生初期の燃焼状況等(室内の火が一審原告らで消火可能な程度だったこと等)、及びファ・・・
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