公益通報者保護制度の実効性向上に向けて

衆議院議員(自由民主党) 小倉將信

第201回国会に「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が提出され、令和2年6月、改正法が成立しました。

公益通報者保護法の制定以降、政府においてガイドラインの策定等の取組みが行われてきましたが、全面的な法制度の見直しは、今般の改正法が初めてとなります。

改正法の成立に当たり、自民党としても議論を重ねたことから、その議論に携わった立場として、検討経緯等を御紹介します。

1 公益通報者保護法の概要

平成12年頃以降、食品偽装やリコール隠しなど、消費者の安全・安心を損なう企業不祥事が事業者内部からの通報を契機として相次いで明らかにされたことを踏まえ、平成16年に公益通報者保護法が制定されました。

公益通報者保護法では、公益通報を「労働者が、不正の目的でなく、労務提供先等について通報対象事実が生じ又は生じようとする旨を、通報先に通報すること」と定義し、一定の要件を満たして公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇を無効にする旨や不利益取扱いを禁止する旨を規定しています。このほか、公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置についても定められています。

2 制度の

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