国民生活センターの最近の動向と2020年の抱負

独立行政法人国民生活センター理事長 松本恒雄

1 新型コロナウイルス感染症のさなかに

 2019年は、台風や大雨による自然災害が相次ぎましたが、2020年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の猛威が消費生活にも大きな影を落としています。いずれの場合も、旅行やイベントの中止に伴うキャンセル料の問題や支払済み料金の返金の問題などが生じますし、しばらくすると便乗した悪質商法が現れるという点でも共通しています。

 国民生活センターでは、2月から数次にわたってコロナウイルス便乗商法の事例を速報しています。「保健所の依頼で来たと騙る事業者から新型コロナウイルスの検査薬を特別に10万円で販売すると勧誘された」「SNSの書き込みを見てカード決済のみというマスクを注文したが、承諾通知メールではカード決済は不可と記載されていた」「市の新型コロナウイルス対策室を名乗り、助成金交付に必要なので振込先のキャッシュカード番号または銀行口座番号を教えてほしいという不審な電話を受けた」などの詐欺や個人情報の詐取目的の勧誘が目立ちます。これらの事例を公表して消費者に注意を呼びかけるとともに、5月から開始される一人10万円の一・・・

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