販売預託商法の原則禁止へ
─特商法・預託法検討委員会報告書を実現しよう─

弁護士(埼玉) 池本誠司

はじめに

 消費者庁の特定商取引法・預託法検討委員会は、2020年8月19日付報告書を公表しました。1985年に破綻した豊田商事事件以来、主な現物まがい商法事件だけでも1兆円を超える被害を繰り返した「販売預託商法」に対し、実に35年を経て、「罰則により原則禁止、民事上も無効」とする画期的な法改正の方針が示されました。

 ほかにも、激増する「詐欺的な定期購入商法」に対し、「顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込をさせようとする行為等に関する規制を強化すべきである」と提言し、送り付け商法(ネガティブオプション)についても、「何ら正常な事業活動とはみなされないものであることに鑑み」、諸外国の法制も参考に制度的な措置を講じることを提言しました。

 今回の報告書は、消費者被害を発生させる悪質事業者は、「消費者利益の擁護」の観点からはもちろん、「消費者取引の公正確保の推進」に取り組む事業者にとっても、「共通の敵」(報告書3頁)であると位置づけたうえで、「ターゲットを絞った実効的な規制等を新たに措置する抜本的な制度改革を実行すべきである」という基本的な視点で取りまとめています。消費者庁・・・

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