日本学生支援機構
「一括繰り上げ請求」の研究(3)

ジャーナリスト 三宅勝久

 筆者が一括繰り上げ請求(または繰り上げ一括請求)の問題に気づいたのは2013年のこと、裁判記録の調査を通じてであった。貸与終了の半年後から20年以内に年賦・半年賦・月賦などで返還するという制度なのに、返還期日がまだ到来していないものもすべて前倒しで、文字どおり「耳をそろえて」数百万円を払えと取り立てる。払えなければ裁判(支払督促)を起こし、和解協議になっても元本のみならず延滞金や利息までびた一文負けようとしないそのやり方は、かつて悪名を鳴らした武富士などのサラ金ですらやらなかった強引さであった。

 この一括繰り上げ請求の根拠として日本学生支援機構が使っているのが日本学生支援機構法施行令5条4項(現5項)だ。

 「学資金の貸与を受けた者が、支払能力があるにもかかわらず割賦金の返還を著しく怠ったと認められるときは、前3項の規定にかかわらず、その者は、機構の請求に基づき、その指定する日までに返還未済額の全部を返還しなければならない。」

 「支払能力がある」ことが大前提の貸しはがし条項だが、機構によれば、実際は支払能力の審査をせず、9ヶ月間以上連絡がなければ自動的に「支払能力がある・・・

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