県営住宅の原状回復義務についての要望書

特定非営利活動法人ひょうご消費者ネット理事長 弁護士(兵庫) 鈴木尉久

1 「しおり」に記載された原状回復条項

 兵庫県の「県営住宅住まいのしおり」には、「退去の際には、次に入居する人の立場に立って、入居された時の状態に修繕・回復してください。畳の表替え・ふすまの張り替えは、入居期間の長短にかかわらず必ず行っていただきます。県が設置したカーテンレール及び網戸についても入居時と同等の機能が維持されているよう修繕等をしてください」との条項(以下、「本件条項」という)が記載されている。

2 ひょうご消費者ネットによる要望書の送付

 本件条項によれば、県営住宅の入居者は、ごく短期間入居しただけでも、畳の表替え・ふすまの張り替えの費用を負担しなければならないことになり、実際、そのような取扱いがなされていることがわかった。

 そこで、ひょうご消費者ネットは、兵庫県知事に対し、2020年7月21日、本件条項は、公営住宅法第20条に反して違法であると思料するので削除するよう要望する書面を送付した。

3 本件条項の削除要望の理由

(1)条例上の根拠の不存在

 県は、本件条項の根拠について、兵庫県営住宅の設置及び管理に関する条例・・・

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